今年5月に江戸川区、区教育委員会後援のもと、“ほほえみ未来プロジェクト実行委員会”による春江フェスが、江戸川区立春江小学校で開催された。
同フェスは、江戸川区春江町にある三か所の障害者福祉施設(江東園ケアセンターつばき、地域活動支援センターはるえ野、障害者支援施設もぐらの家)の職員が、障害者理解を通して共生社会を目指すために企画した。小学生が障害者の日常や困難を理解し、共感する機会を提供することで共生社会実現の一助となることを狙いとしている。
併せて、災害時にも障害者福祉施設としての機能をストップさせることなく、地域住民のニーズに応えるために、複数施設が連携して相互支援する仕組みの構築を目指している。
この趣旨に賛同した学校や地元町会も全面協力した、まさに地域ぐるみの取り組みだ。
まずは、子どもたちに障害者福祉施設のことを知ってもらうため、実際に福祉施設を廻るスタンプラリーを行い、それぞれの施設で、施設利用者と子どもたちが一緒に、紙漉き体験や、ビーズアクセサリーづくり、紙芝居の読み聞かせなどを楽しんだ。スタンプラリー移動の際には、地元町会の方々が自ら見守りを買って出るなど、日頃からの地域の協力体制が伺える。
また、春江小学校体育館では、ボッチャ体験、車いす体験等が行われ、参加者の声援と笑顔が印象的だった。障害者による音楽フェスでは、障害者と子どもたちが一緒に音楽を楽しみ、リズムに合わせて体を揺らしたり、踊りだす子どもたちもいて、会場は大いに盛り上がった。
校庭では福祉事業所による模擬店で賑わい、地元町会による防災体験が実施された。地域の安全を守るための情報共有や防災意識の啓発が行われ、地元町会からは、谷河内南町会と椿親和会が協力した。
春江フェスは、次代を担う子どもたちに、地域社会における福祉の重要性と、共に支え合うことの大切さを伝え、誰一人として取り残さない社会を目指す重要な役割を果たしている。イベントの様子は、東京都地域公益活動推進協議会の公式YouTubeチャンネルで映像化されており、その魅力を伝えている。
参加者の声
子どもが、初めて障害をもつ人たちと触れ合って、車椅子体験や音楽などが楽しめたことは良かったと思います。同じ春江町にこのような障害者施設があることを知り、身近に感じることができました。
企画元となった障害者福祉施設
春江町2丁目、3丁目には、知的障害者施設、精神障害者施設、身体障害者施設の、三つの障害者福祉施設がある。この三施設の職員たちの懇親会での話題から春江フェスをはじめるきっかけとなった。
江東園ケアセンターつばき(社会福祉法人 江東園)
高齢者と幼児、知的障害者のための施設。
障害福祉サービス(生活介護・就労継続支援B型)、通所介護、訪問介護、通所型サービス、江東園つばき保育園の運営など多岐にわたる。複合施設の利点を生かし、相互の交流を促進し、家族的な思いやり豊かな明るい施設を目指す。
地域活動支援センターはるえ野(NPO法人 東京ソテリア)
精神障害者施設。
こころの健康に問題を抱えたときにも、安心して暮らせる地域の実現を目指し、生活や就業に関する相談・支援を行っている。
障害者支援施設もぐらの家(社会福祉法人 つばき土の会)
身体障害者施設。
入所支援事業、生活介護事業、就労継続支援B型事業を行っている。
いろんな人たちが、助け合って生きる、地域の中野大きな家を目指し、この家を利用する誰もが自分らしく、生きがいを持って生きられるよう支援している。
地元町会・地元有志の会
谷河内南町会・椿親和会
独自で地区防災計画を作成している2町会。
隣接する町会でもあり、日頃から協力体制を構築している。
谷河内南町会(会長 石井修一さん)
谷河内南町会は、普段から防災に力を入れており、町会活動の折には併せて防災訓練を行っています。今回の春江フェスでは、谷河内南町会と「NPO法人 手をとりあってつなぐ命」にも声掛けし、防災訓練に協力させて頂きました。
椿親和会(防災部長 池田幸生さん)
春江フェスの目的達成のために、地域の町会として、今後も積極的に協力していきたいと思っています。また、住民一人一人が、より一層災害に対する危機管理意識を持てるよう地域防災の取り組みに努めて参ります。
イクジーの会
椿親和会防犯部のOBと有志が活動メンバー。
自由な活動を行うため椿親和会から独立した団体として組織されている。
春江フェスの会場となった春江小学校の子どもたちの登下校の見守りを行っている。
子どもたちの見守りは地域の防犯にも繋がっている。