社会福祉法人 江東園 経営企画部(TGM)本部長 杉 啓以子さん

目次

誰もが笑顔で暮らす場所

多世代共生へのこだわり「その人らしく」生きるために

お年寄り、子どもたち、ハンディキャップがある人たちが一緒に過ごす施設社会福祉法人「江東園」を運営する、ひときわ元気で精力的な杉啓以子さん。

Profile

1947年生まれ、江戸川区に住んで半世紀。江東園ケアセンター施設長。知的•身体•精神の3障害をつなぐ「江戸川さんしょうがいフォーラム」の設立者、NPO法人日本世代間交流協会理事長として多方面で活躍する。

江東園の始まりは、養護老人ホーム江東園だった。老人ホームにたどり着いたお年寄りたちが「自分らしく生きていてよかった」と思える場所を作りたいと願い、お年寄りたちと子どもたちが一つ屋根の下で家族のように暮らせる施設として1962年に建て替えを機に、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、1976年に開設していた保育園と高齢者在宅サービスセンターの4施設複合施設として江戸川一丁目に開設した。「複合型」「共生型」施設ということで国内外からも注目され、取材や見学の対応に追われる日々が10年も続いたと杉さんは話す。

「おじいちゃん、おばあちゃん、保育園のおともだち、えぽっく(障がい福祉サービス)のおにいさん、おねえさん、そしてスタッフ。たくさんの人たちの手と笑顔が集まり大きな木に育ちました。」と杉さんは話す。

江東園では、子どもたちとお年寄りたちが日常的に交流できる仕掛けと環境を作った。お年寄りにとって子どもとの触れ合いは役割の創出と元気の源となる。

高齢者と子どもたちとの触れ合いを見て、杉さんは「様々な人々が関わり合い、助け合い、笑い合うことが普通の社会であるのに、障害を持っている人が認められないのは理解できない。」と強く想ったそうだ。
障がい者が認められ、社会の一員として活躍できる施設を作りたいと想い、民間初の重度知的障がい者の生活介護施設を立ち上げるために2006年には春江町の土地を手に入れた。今、ケアセンターつばきは1階が知的障がい者就労B型事業所、2階が知的障がい者生活介護、3階が老人デイサービス事業所と事業所内保育所であり江戸川一丁目の施設と同じ「複合型」「共生型」施設として運営されている。

1階にはカフェ「えぽっく」がある。ハンディキャップのある人たちがカフェの中にある工場でオリジナルポップコーンを作り、楽しそうに働いている。ご近所の方々や施設のお年寄りが来店し毎日賑わっている。
「えぽっく」の障がい者とスタッフは区から「子ども見守り」防犯用の腕章をもらい、小学生の下校時間に見守り隊として防犯活動も行っている。散歩や地域清掃の時も腕章をつけることで、見守り隊の防犯効果を高めている。

江東園「つばき」の施設内の壁はすべてガラスで、部屋越しの様子が見える。
「99歳のおじいちゃんが頑張って平行棒でリハビリをしている姿を、子どもたちが応援するんですよ。」と杉さん。誰もが声掛けし、応援できる工夫をしているという。
お年寄りたちは子どもたちに折り紙や手芸を教えたり、人生経験など伝えたりしている。子どもたちはお年寄りたちの一層の愛情を受けて「やさしさが育まれている」と杉さんは話す。

「どんな人でも役に立たない人はいない。人の役に立つ存在であり続けること。死ぬまで人の役に立つことが私の持論」「みんなありがとうね!頑張ったね」と杉さんは常に言っているようだ。

杉さんに活力の源を聞くと、みんなから「気」をもらって私は元気で頑張れるんです!と答えが返ってきた。満面の笑顔が印象的だった。

えぽっく特製のポップコーンを食べよう!

その場で焙煎している美味しいコーヒーと共に名物なのが、天然ココナッツピュアオイルを使っている20種類の味の絶品ポップコーン。店舗には香ばしいかおりが漂っている。

江東園ケアセンター つばき

東京都江戸川区春江町2-5-15

03-5636-6211

老人デイサービス、障がい福祉サービス、保育園のある共生複合施設。一階は障がい者のスタッフが働くカフェ「えぽっく」がある。高齢者、子どもたち、障がい者のスタッフが垣根を越えて交流している。

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