江戸川区 新川さくら館 館長 辰野 泰さん

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玉すだれとさくら館で大活躍

オペラとコラボ。新しい玉すだれの魅力

「玉すだれで全国を回るのが夢なんですよ」と笑顔で話すのは、新川さくら館がオープンして以来、館長を務めている辰野泰氏。
大江戸玉すだれの家元・佃川燕也師匠という芸名を持っている。

辰野さんは落語や古典芸能が大好きで、三越百貨店に勤務するサラリーマン時代には日本サラリーマン文化芸術振興会(一芸ができるサラリーマンが集まる会)に所属していた。ここに通う主婦の友お茶の水文化センターの営業部長さんに玉すだれの講師としてスカウトされたことから、辰野さんの活躍は始まった。辰野さんが教える講座は生徒に大人気で、教室は次々と広がった。

江戸時代に庶民の間で流行した玉すだれは、10から15の象形を守ってきた。辰野さんの大江戸玉すだれは、それを超えた新たな姿を生み出した。オリジナル演目を創り、これまでにはなかったオペラ、狂言、義太夫や浮世節とのコラボレーションも行っている。現在は全国に200名を超える門下生がおり、海外でも公演を行っている。

Profile

東京都中央区佃島出身。1993年一般社団法人大江戸玉すだれを設立し理事長に。芸名・佃川燕也として活躍し、全国に200名余の門下生を抱える。2013~2023年3月新川さくら館館長として勤務、地域活動を精力的に支援している。

新川さくら館から文化の発信を!

辰野さんが定年を迎える頃、これからは大江戸玉すだれの家元としての活動に専念しようと準備を進めていた。だが、会社から思わぬ提案があった。「江戸川区に新川さくら館という施設をオープンさせる。館長として務めてくれないか」との打診されたのだ。新川さくら館の景観、江戸へのこだわり、和のテイストに一目ぼれし、「ここなら玉すだれや、楽しい文化の発信ができる!地域の賑わいを作っていこう!」と辰野さんは即決。

新川さくら館は、毎年春に新川千本桜の会が主催する「新川千本桜まつり」のフォロー役として祭りを盛り上げている。館内では歌舞伎衣装など毎年、江戸にちなんだ様々な展示がされている。式典では伝統ある江戸火消し「い組」の木やりで纏(まとい)を振るうのが恒例になっているほか、東京都の無形文化財に登録されている「おしゃらく」や「葛西ばやし」、そして辰野館長が家元として活躍する「大江戸玉すだれ」も披露されている。

夏の恒例企画としては、金魚の三大産地である江戸川区の金魚を身近に感じてもらうため、辰野館長自ら近隣の小学校に出向いて「金魚ちょうちん」の作り方を教えている。
子どもたちが作ったオリジナリティあふれる500~600個の金魚ちょうちんは新川さくら館で展示されるのだが、建物の和のテイストに合い実に見事だ。地元の文化を大切にし、ご自身のネットワークを活かしながら、文化に関する様々な発信がされている。

辰野さんは、今年3月で新川さくら館の館長をご退任されるが、これまで築き上げられた実績に心から感謝したい。

オリジナル「大江戸玉すだれ」

写真は、大江戸カルチャーMix での公演。これまでなかった、「玉すだれ× オペラ」、「玉すだれ×浮世節」、「玉すだれ×義太夫」のコラボレーション。玉すだれという「軸」を通し、新たな演出で披露した。

江戸川区新川さくら館

東京都江戸川区船堀7-15-12

03-3804-0314(OPEN 9:00~21:30)

【大江戸玉すだれ講座】毎月第2、第4木曜。初級コース13:30~【親子で楽しめるみんなの玉すだれ教室】も開催。参加申込・お問合せは090-8779-2949へ。

取材MEMO

大江戸玉すだれの洒脱なお家元として、そして、地域文化の発展に貢献する新川さくら館の敏腕館長としての辰野さんのマルチなご活躍に驚きました。今度是非、舞台公演を観に伺いたいと思います。これからも益々のご発展をお祈りいたします。

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