「NPO法人らいおんはーと」理事長及川信之さん

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「世代を超えたつながりをつくる」

生き生きとした方たちと一緒にいるとこちらまで元気になります。この特集では、地域に世代を超えたつながりをつくり、かけがえのないご縁を築いていこうと活動する人たちにスポットをあて、3名の方々に登場していただきお話を伺いました。彼らのエネルギーがみなさんの「きづき」になるかもしれません。
最初にお話を聞いたのは、誰でも行けるもう一つの家庭のような場所、「NUKUNUKU」を提供している「NPO法人らいおんはーと」理事長の及川信之さんです。

Profile

北海道稚内市出身。2013年4月から 2018年3月まで江戸川区松江第三中学校PTA会長、2016年、江戸川区立中学校PTA連合協議会副会長を務める。2017年5月、ボランティア活動団体「らいおんはーと」結成、ぬくもり子ども食堂『NUKUNUKU』開催。
2018年法人化。子ども達への食の支援、学習支援を続け、現在に至る。

親の代わりにはなれないけど
身近な大人が愛情を注げば子どもは育つ

 「おせっかいなおじさんってところですかね」と笑うのは、NPO法人「らいおんはーと」理事長の及川信之さんだ。ひと昔前は、地域の大人が子どもの成長を見守り、声をかけるのが日常だったが、時代が変わり、今はほとんどその光景を見なくなった。「ならば自分が」と及川さんが立ち上がる。

 「らいおんはーと」は、誰でも行けるもう一つの家庭のような場所だ。開催日時は10時から20時。一般的な子ども食堂が月に数回なのに対して、365日毎日利用できるのが大きな特長である。メインとなる子ども食堂の活動として朝ごはん、お昼ごはん、おやつ、夕ごはんを提供するほか、不登校支援のフリースクール、学習支援、ものづくり体験、高校進学フェア、フードパントリーなどを実施する。365日毎日「子どもたちが成長する過程で、必要な事は何でもお手伝いしたい」(及川さん)。

及川さんが今、力を入れているのが、フードパントリー※。現在10か所を展開
※フードパントリー:企業や団体などから食品や日用品の提供をうけ、身近な地域で無料配布する

 集まる子たちの中には複雑な家庭事情を抱える子や不登校の子も。ただし、小・中で不登校だった子たちは、高校に入ってから変わると言う。「らいおんはーと」のフリースクールに来ていたある子は、通信制高校に入学後、毎日登校し、勉強も頑張るようになった。ある日、誇らしげに「オール5」の通知表を見せに来てくれ、「学年で一番になった。今は生徒会長を目指してるんだ」と及川さんに話した。不登校だった子がこんなに成長したのかと感じ、「いろんな人と話すと視野が外に向いていくのでしょう。嬉しいですね」(及川さん)。フリースクールに来ていた他の子どもたちも、今では全員学校に通い始めた。

 「親の代わりにはなれなくても、大人が自分に愛情を注いでくれた、という経験があれば、その子は絶対、悪い大人にはならない」と及川さんは話す。学習支援や進学サポートも大切だが、それ以上に大事なものを子どもたちに教えたいと考えている。
「子どもには、誰もが変わる瞬間がある。それに寄り添えることが何より嬉しい」(及川さん)。

不安定な時代だからこそ、
人とのつながりが大切

 及川さんは、自身の子どもが小学生の時はおやじの会で活動し、松江第三中学校では5年間PTA会長を務める。当時から、「子ども食堂」、「子どもの進学支援」など、今の活動につながることをやっていた。ある日、イベントから、笑顔で帰っていく子どもたちを見ながらふと頭をよぎる。「不登校の子はどうしているのだろう」彼らが外に出るきっかけをつくりたいと動き出した。

 まずは月に2回、町内会館で子ども食堂をスタートさせた。次にはじめた小学校での子ども食堂では70人くらい集まったが、月に2回だけでは、さまざまな悩みごとを相談できるほどの関係性はつくれない。食を提供するだけではなく、今の生活を脱出して成長する手伝いをするためには、一拠点に場所を構え、いつでも話ができるようにしなければならないと考える。及川さんが区立中学校PTA連合協議会副会長だったこともあり、当時の区の教育長に話をする機会があった。そこで問題意識を強く共有してもらい、今の場所を提供してくれる人を紹介してもらうことに。そして2018年5月、ついに念願の「らいおんはーと」を立ち上げたのだった。

 及川さんは、子どもが抱える問題の背景には複雑な事情が絡みあっていることを自身の経験を通じて痛感している。環境次第で変わるのは子どもだけではない。保護者も、及川さんらスタッフと話をするうちにどんどん笑顔になる。「自分も含めて完璧な親はいない。話を聞くことから始めたい」と言う。また「この時代だからこそ、今まで一人で悩んでいたこともあそこで相談できるねという場所が大事だ」と考えている。これからも、地域と人々がつながるぬくもりの場であり続けたいと、話してくれた。及川さんは365日、止まることなく「世代を超えた」、「地域に開かれた」活動をしている。この活動をみなてらすは照らし続けていきたい。

教えて及川さん

子ども食堂ってなあに?

及川さん

子どもに無料または低額で食事を提供したり、地域の人と
交流したりする場所だよ。コロナ禍でもどんどん増えていて、
2021年12月の発表では、全国に6,007か所もあるんだって※。

(厚生労働省_子ども食堂応援企画)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000044382.html
PRTIMES 2021年12月22日 認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

江戸川区にも子ども食堂があるの?

及川さん

2022年7月現在、把握されているのは、41ヶ所あるよ。『えどがわっ子食堂ネットワーク』のHP※に詳しいことが載っているから見てみてね。
他にも、区のHPには、食についてのサポートがいろいろ載っているよ。

https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e077/kosodate/kosodate/kosodateshienjigyo/syokunosien.html
( 江戸川区HP 食の支援(子ども食堂·食事支援事業))

「 らいおんはーと」はいつ開いているの?

及川さん

365日、毎日やっているよ。
でも、念のため、行く前には電話をしてね。

「らいおんはーと」はどんな人に支えられているの?

及川さん

食料は、ほかのフードバンクやメーカーさんから直接いただいた
りしています。他にも、魚屋さんや農家さんなど、いろいろな人
たちが支えてくれています。

「らいおんはーと」はどうやって運営されているの?

及川さん

個人会員の方が月500円、法人会員さんが、月1万円を寄付してくださっているので、基本的にはそのいただいたお金で運営しているよ。プラスアルファで、寄付をいただいたり、助成金が支給されたりすることがあるから、子どもたちは無料なんだよ。

私も「らいおんはーと」に寄付をしたいんだけど、どうすればいいの?

及川さん

まずはホームページを見て、活動に賛同いただけたら、お電話を
ください。そして是非一度、見学に来てください。寄付も大歓迎です!
https://npo-lh.com/support

小学生の子どもがいて、子育てのことで悩んでいます。
「らいおんはーと」に相談に行ってもいいですか。

及川さん

もちろんです。気楽になんでも相談に来てください。子どもの友達関係のこと、学校のこと、家庭内のこと、なんでも相談してください。法人会員が30社ほどあるので、お仕事の相談にいらした親御さんに対してパートのお仕事を紹介したりもしています。

【NPO法人らいおんはーと】

2017年12月、東京都江戸川区鹿骨2丁目33番11号に創立。及川信之さんが代表を務める。小学生~中学生を対象に、子ども食堂や学習支援などを実施。月・水・金・日に開催。料金は無料。
詳しくはHPまで。
https://npo-lh.com/

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