2025年(令和7年)8月2日、今年で50回を迎える「江戸川区花火大会」が江戸川河川敷で盛大に開催された。約1時間で約14,000発が打ち上げられ、都内最大級の規模を誇るこの大会は、節目の年にふさわしい華やかな演出で観客を魅了した。オープニングの1,000発連発に始まり、高さ59.2メートルの「最も高い山型の仕掛け花火」がギネス世界記録を達成するなど、夜空を彩る壮大なショーに会場は歓声と熱気に包まれた。
翌朝に始まる、もうひとつの“祭り”
華やかな夜の余韻が残る翌朝7時。人々の歓声が響いた河川敷には、花火の燃えカスをはじめ、飲み物の缶や食べ物の袋など、無数のごみが散乱していた。そんな中、地域の力を結集した清掃活動「江戸リバークリーンフェスタ」が始まった。
主催は、東京臨海ロータリークラブ。企業や地域団体、小・中学生の野球チームなど、総勢約800人が参加し、河川敷を4つのエリアに分けて清掃を実施。北は小岩緑地付近から、南はポニーランド付近から、それぞれ中間地点へ向かい協力してごみを拾い集める。子どもたちが元気に声をかけ合いながらごみを拾う姿は頼もしさを感じさせるものだった。
猛暑の中、朝7時から9時までの2時間で集められたごみの量は膨大で、河川敷はいつもの美しさを取り戻した。ある野球チームの少年は、「このあと野球の練習があるのできれいにしないと」と話し、監督は、「この活動があるからすぐ練習に使える。普段使わせてもらってる場所だから、子どもたちにも責任を持って取り組むように伝えている」と語る。
花火大会の裏側で行われるこうした清掃活動は、地域の絆と環境への意識を育む大切な取り組みである。東京臨海ロータリークラブが中心になって行われる「江戸リバークリーンフェスタ」は、華やかなイベントの陰にある、もうひとつの大切なことを私たちに教えてくれる。


清掃活動が生む地域の価値

この取り組みは、地域の美化だけでなく、経済的な効果も生んでいる。仮に業者に全面的に清掃を依頼した場合、約600~800万円ほどの費用が掛かるという。しかし、ボランティアによるごみ集めにより、約400万円のコスト削減につながっているという。
さらに、毎年参加している人からは、「今年はごみが少ないね」との声も。数年前は、テーブルに食べ物が乗ったまま放置されるほどだったが、今ではごみの量も減り、マナーの向上が感じられる。
この活動は、子どもたちの環境意識を育てるだけでなく、ごみを捨てる側の行動にも変化をもたらしている。世代を超えて地域が協力し、美しい河川敷を守るこの取り組みは持続可能な社会への一歩として、今後も広がりを見せていくだろう。


閉会式で感謝の言葉を述べる。

東京臨海ロータリークラブ会長
村社 研太郎さん
江戸リバークリーンフェスタは、江戸川区、地域の少年野球チーム、そして多くの企業や区民の皆さまと力を合わせて行う、まさに「地域一体」の清掃活動です。企業経営者として、地域社会の一員であることを自覚し、子どもたちに郷土への誇りと環境を守る心を伝えることは、大きな意義があります。行政・企業・地域住民が三位一体となり、互いに支え合うことで、より豊かで持続可能なまちづくりに貢献できると考えています。




