令和6年(2024年)12月にタワーホール船堀で、第70回江戸川区産業賞の表彰式が盛大に開催された。この表彰式は昭和30年(1955年)から続く伝統あるもので、区内の産業振興や人材確保を目的に行われている。これまでに2,400を超える事業所や団体と5万人以上の個人が表彰されてきた。今回の表彰では、19の事業所と214名の方々がその栄誉に輝いた。

表彰はさまざまな分野にわたる。長年にわたり他の模範となる業務を遂行してきた従業員を称える「精励従業員表彰」、商店や農業など各分野で経営努力や技術開発を称える「優良企業表彰」「優良商店表彰」「優良農業表彰」「技術功績表彰」、衛生管理の優れた施設を称える「環境衛生優良施設表彰」「食品衛生優良施設表彰」、そして持続可能な開発目標(SDGs)を推進する取り組みを行う事業所に贈られる「SDGs推進事業所表彰」などがある。
「2030年の江戸川区(SDGsビジョン)」に向けて
江戸川区は令和4年(2022年)に「2030年の江戸川区(SDGsビジョン)」を策定し、令和12年(2030年)までに目指す町の姿を描いている。その一環として「SDGs推進事業所表彰」が新設された。
令和5年(2023年)は「有限会社 鈴木建材店」がこの表彰を受賞し、技能実習生の受け入れや多様な働き方の支援、古木や古ガラスの再利用など、多岐にわたるSDGsの取り組みが評価された。そして3年目となる今回は、業者から廃棄予定の食材を無料または安価で仕入れ冷凍弁当を作っている「株式会社Tokyo Bento Labo」がこの賞を受賞した。
~株式会社Tokyo Bento Labo~
今回の受賞につながったのは「三色丼」の取り組みである。きっかけは、小松菜農家での廃棄問題を知ったことからはじまる。旬の野菜の約2割が廃棄される現状があり、この問題を改善するために廃棄予定の野菜を弁当の材料として活用することを始めた。この弁当の特徴は、「食材」ではなく、「色」をテーマに盛り付けを行う点である。廃棄される野菜は日々異なるため、固定された食材ではなく、その日ごとに異なる色合いで工夫がなされている。
現在では、総合体育館をはじめとする6か所に冷凍自動販売機を設置し、その場で食べられる仕組みも整備されている。

「食べ物を捨てるということは、食べる楽しさも捨てる」ということだと思っています。この思いから、「三色丼」には、食材を無駄にしないだけでなく、食べる喜びを伝える工夫をしています。今後は、近隣に飲食店がない方や深夜に偏った食事を摂る機会が多い事業者や病院勤務の方々にも、食事を楽しんでいただけるよう、自販機の設置をさらに充実していく予定です。

株式会社Tokyo Bento Labo
代表取締役 関 克紀さん
SDGsの目標の中には、「8.働きがいも経済成長も」という項目があるよ!
つまりこの表彰自体が、SDGsの取り組みと言えるね!

コメント:江戸川区 産業経済部 部長 野口 千佳子様

区内には、長年培った経験や知恵を活かし、新製品の開発やサービスの提供、新しい業務領域への進出、販路の拡大、コストの低減等、絶え間ない努力を重ね、業績の維持向上を達成している事業者が多数いらっしゃいます。
産業賞を受賞された皆様こそがその象徴であり、区内経済の活性化に大きく寄与されています。今後さらに各分野でご活躍いただき、まちに活力を与え地域力を育んでいただけると確信しております。