「元中学校 保健体育教師」遊佐 照雄さん

3人目は、江戸川区の多くの中学で教鞭をとっていらっしゃった遊佐照雄さんです。
保健体育を教えながら、生徒会担当をしていたときの活動がきっかけで、「地域の伝統文化を子どもたちに伝えていきたい」と、現在も活動中。大病を克服してなお走り続ける想いとは?

「海坊主と大だこ」の作者、遊佐照雄さん

Profile

江戸川区松江出身、中葛西在住。東京学芸大学卒業後、松江五中、小岩四中、葛西第二中など区内複数の中学校に勤務し、生徒会を担当してきた。定年退職後、葛西地区の文化を繋いでいくための活動に精力的に取り組む。最近の活動では、小学校で実施した「大般若のおまつり」についての授業がある。

目次

「葛西の文化を
次世代に伝えていきたい」

 「中学は器械体操部だったので、中川の河川敷でよくバク転や地上回転の練習をしたものです。」当時を思い出して遊佐先生は笑う。

 東京学芸大学で保健学を専攻し、卒業後、最初に勤めたのが地元の松江五中だった。生徒会を担当することが多かった先生は、定年を迎える学校となった葛西第二中学校でも生徒会を担当。生徒会で先生の地元である葛西弁について調べ、生徒会新聞に載せたことがきっかけで、「地域の伝統文化を子どもたちに伝えていきたい」という意識が芽生えた。

 生徒に親しまれていた遊佐先生が、突然、くも膜下出血に襲われたのは、2007年4月のことだ。手術は成功し、一命をとりとめた。幸い後遺症も全くなかったという。

 このことは、遊佐先生に「このおまけの人生で、定年後は、地域の文化を繋いでいくためのボランティアをやろう」という想いを強くさせた。それからさらに、葛西地区のことを調べるようになった。

 「遊佐先生からの依頼なら」と、地元の方々や、学校、江戸川総合人生大学、劇団創劇社の皆さんなど、多くのサポートも集まった。そのおかげで今も、葛西·雷の歴史が、紙芝居や朗読劇などを通して、子どもたちに、脈々と伝えられている。

紙芝居の絵は、熊谷裕子さん。
紙芝居の上演は、江戸川総合人生大学六期生有志のみなさん

 「葛西伝統文化記念館を作るのが夢!」と語る遊佐先生。その笑顔は希望に満ちて輝いている。

 このパワーの源は、地元愛の深さと、この活動を楽しめる心の豊かさだと強く感じた。

人々の無病息災を祈り、仏の教えを書いた本を箱をかついで回る「大般若」という祭りの歴史を語る遊佐さん
温かみのある遊佐さん自作のビデオ

これまでの主な活動

  1. 葛西で誕生し、現在は東京都指定無形民俗文化財にもなる「おしゃらく」の踊りを小中学校に紹介。また、「葛西を学ぶ」特別授業を実施。
  2. 雷(いかづち)の文化を実際に目で見てもらうため、雷カルチャーウォークを実施。
  3. 真蔵院のおばあちゃんが昔の雷の話を綴った直筆原稿が郷土資料館にあると知り、それらをすべてパソコンで打ち直し、冊子として残す。
  4. 創作昔話6話「葛西埋蔵話」を作成。江戸川総合人生大学の方に、紙芝居を作ってもらう。
  5. 創作昔話の中から、「戻らなかったお寺の鐘」「堤防でむせび泣く少女」「命がけだった海苔の養殖」「船を燃やしちゃったのは誰」を、劇団創劇社が朗読劇として舞台化。真蔵院、葛西区民館等で上演。
  6. 江戸川区指定無形文化財「大般若」(無病息災を願った伝統行事)の冊子を作成。
  7. 葛西・雷(いかづち)のブログを、1957回発信。
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